2018年12月04日
<ビール工場>電動車いす試飲○?×? 大手4社対応割れる
電動車いす利用者の試飲について、大手4社の試飲ができるビール工場の対応が分かれている。電動車いすを巡っては、警察庁が飲酒後に利用しないよう手引で呼び掛け、障害者団体が「差別にあたる」と記述の削除を求めているが、4社のうち2社は、手引などを根拠に飲酒に条件を設けたり禁止したりしていた。
警察庁は2002年度に作成し、ホームページで公開している手引「電動車いすの安全利用に関するマニュアル」に「飲酒等して利用することは絶対にやめましょう」などと記載。これに対し障害者団体は、電動車いすが道路交通法上、飲酒を禁じられていない歩行者として扱われていることを根拠に「障害者差別解消法の不当な差別的扱いに当たる」と訴え、記述の削除を求めている。
無条件で飲酒を認めているのはサントリー。「車いすは体の一部」(同社広報担当)との考えから電動、手動の利用者も工場内で試飲できる。ただし、手引の存在は知らなかったといい「今後は検討する」と回答した。
アサヒビールは安全確保の側面から、手引に関係なく飲酒に条件を設けている。試飲をするか否かにかかわらず、車いす利用者には「災害発生時などの安全対策」として、付き添いと2人以上で来場するよう求めた上で、手動と電動のいずれにも試飲を認めている。
キリンは、工場がある自治体の警察署から手引に関する説明を受けた。社内で15年前にマニュアルを作り、手動については「利用者自身でコントロールできやすい」として試飲を認め、電動は付き添いがいる場合に認めている。
サッポロビールは手引に従い、電動の飲酒を禁止。手動は認めているが「車いす利用者の体調など状況によっては試飲をしないように協力を求める場合がある」としている。【成田有佳】
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この記事は、サッポロビールの手動車いす利用者への対応に関する記述に誤りがありましたので訂正しました。
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