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儲かって笑顔ですね

2019年08月14日

店にいる客が儲かっているのに、カジノも儲かっているのはなぜ?

カジノに入店すると、通常は店にいる客の多くは上機嫌です。それでもカジノが儲かっている理由を久留米大学商学部の塚崎公義教授が解説します。
店にいる客が儲かっているのに、カジノも儲かっているのはなぜ?


カジノに残っている客と帰った客のことを考える

 カジノに入店すると、多くの場合、店にいる客の多くは儲かって笑顔ですね。パチンコ屋でも同様ですね。それなのに、店は潰れるどころか繁盛しています。なぜでしょうか。それは、負けて帰った客が大勢いるからです。

 朝から1000人の客が来て、990人は負けて泣きながら店を出て行き、たまたま勝った10人だけが店に残って笑いながら遊んでいる、というのが通常のカジノやパチンコ店でしょう。

 そういう店に筆者が入店すると、つい「この店は客に優しそうだ。筆者でも勝てるかもしれない」と思ってしまいますが、991人目の負け客になる可能性の方が11人目の勝ち客になるより可能性が高そうですね(笑)。

 これは、今の瞬間に店の中にいる人は目に入りますが、帰って行った負け客は目に入らないので、筆者には全体像が見えておらず、それが失敗の原因だ、というわけですね。

 カジノやパチンコ程度であれば良いのですが、同様のことが学生の就職で起こりかねないので、心配です。起業して成功した青年実業家は、学生に向かって「夢を持て」と言います。「サラリーマンなどつまらないから、起業して私のような大金持ちを目指そう」、というわけですね。

 その時、学生が「起業した人は大勢いるが、成功した人は僅かだ」ということに気付けば良いのですが、なかなか気づかないでしょう。そうなると、起業すれば金持ちになれると錯覚して起業してしまう場合もあるでしょう。

 実際には、起業した人の多くは失敗して世の中の表舞台から去り、学生には存在さえも認識されていないのですが。

 筆者は、学生が夢を持って起業することを否定するものではありません。カジノやパチンコ屋で遊ぶことを否定するものでもありません。ただ、リスクとリターンの関係を正しく認識した上で、正しい判断をして欲しいと願っているだけです。

 「店にいる人を見たら、店にいない人のことを想像してみる」なんて、言うは易く、行うは難し、ですが。

 いない人のことを考える、という意味では、政党支持率のアンケート調査に関しても一言。平日の昼間に自宅の固定電話に電話すると、高齢者と専業主婦の意見ばかり集めることになりますので、要注意です。アンケートの結果を見る際には、平日の夜か休日に電話がなされたか、あるいは携帯電話にも電話したことを確認する必要がありますね。


文句を言う人がいたら、黙っている人のことを考える

 教室で講義をしている時、「暑いから冷房を入れてくれ」という学生がいたとしても、すぐに入れるのは危険です。それ以外の全員から「寒いから冷房を切ってくれ」と言われかねないからです。

 不満な人は文句を言いますが、満足している人は黙っています。したがって、不満の声だけを聞くと、黙っている人が満足していることを見落としてしまうかもしれないのです。

 かつて某政治家が、高齢者の陳情を受けました。「我々金利生活者は、こんな低金利では生活できない」というのです。そこで彼は記者会見を開き、「金利を上げなければ」と言ったのです。

 金利を上げるのは日銀総裁の仕事で政治家の仕事ではありませんが、そこは置いておくとして、翌日起きたことは何でしょうか。選挙区の中小企業が怒鳴り込んで来たのです。「我々は低金利だから生きていけるので、金利が上がったら死んでしまう」というのですね。

 農産物の輸入自由化が話題にのぼると、農家は生活がかかっていますから、必死に反対運動をします。一方で、多くの非農家は「農産物の輸入が自由化されれば外国産の農産物が安く買えるから、少しは嬉しいが、輸入賛成運動を繰り広げるほど強くは希望しない」という事で黙っているはずです。

 そうなると、反対運動を見た政治家が「国民の多くが反対だから、自由化はやめておこう」と考えるかもしれませんが、それは間違いです。賛成している人の方が遥かに多いのですが、各自は少し賛成なだけなので、誰も声を上げない、ということなのです。

 企業は製品の改良に顧客のクレームを活用する場合があります。これも、気をつけないと危険です。「壊れた」というクレームを受けて、壊れにくいように製品を改良すると、重くてデザインの悪いものとなりがちです。

 一方で、重さとデザインに不満があって我が社の製品を買わずにライバルの製品を買った客は、わざわざ「重さとデザインに不満がある」とはクレームして来ません。

 そこで、クレームに真摯に対応すると、かえって売れ行きが落ち込んでしまう可能性もあるわけです。本来であれば、ライバル製品を買った客に「なぜ我が社の製品を買わなかったのですか」とアンケートすべきなのですが、それは実際には難しいでしょうね。

 したがって、買わなかった客、クレームして来なかった客のことを考える必要があるのですが、これも言うは易く、行うは難し、ですね。


円高でも円安でも日本経済は酷い目に遭う?

 円高になると、輸出企業は「円高で苦しい。ボーナスは我慢してくれ。下請け企業は値引きに応じてくれ。政府は支援してくれ」と大声を出します。一方で輸入企業(輸入原材料を大量に使う企業)はコスト低下で儲かりますが、黙っています。うっかり儲かったと発言すると、労組が賃上げを、下請けメーカーが値上げを要求して来ますから。

 そこで、聞こえてくる声だけを頼りにしていると、円高で日本経済は打撃を受けているように思えます。

 そして時が移り、円安になると、今度はコストが増えた輸入企業が大声を出し、輸出企業は儲かっているので黙ります。そこで、聞こえてくる声だけを頼りにしていると、円安でも日本経済は打撃を受けているように思えます。

 実際には、日本は輸出と輸入が概ね同額ですから、円高でも円安でも経済への影響はそれほど大きくないはずなのですが、聞こえてくる声だけからは、そうは思えないのです。

 輸出企業の声が聞こえて来たら、輸入企業のことに思いを馳せる事が必要なのですね。言うは易く、行うは難し、ですが。

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)




引用元の記事はこちら(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190813-00010000-wedge-bus_all)


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