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和歌山電鐵の猫列車

2018年02月22日

2月22日は「猫の日」全国各地を走るネコ列車

 猫好きの人は、出掛けるときも猫にちなんだ場所に行くことが多いのではないかと思う。筆者も例外ではなく、2匹の黒猫を飼っているのに猫の絵が展示される美術館から猫が多く住む島まで、さまざまな場所に足を延ばしてきた。

【写真】よく見ると耳が・・・猫をモチーフとしたデザインの和歌山電鐵貴志駅舎

 鉄道も例外ではない。猫のいる駅は全国各地にあり、駅長などの役職に就いている猫もいる。そして猫を描いた列車もいくつかある。2月22日は猫の日ということで、筆者が乗った猫列車にスポットを当てて紹介したい。


■鉄道と猫といえば「たま駅長」

 鉄道と猫を結び付けた立役者は、やはり和歌山電鐵の「たま駅長」だろう。和歌山電鐵は、南海電鉄が乗客の減少を理由に廃止を表明していた貴志川線を、岡山県を中心にバスや鉄道、船舶の運行をする両備グループが救済し、2006年にグループ内の岡山電気軌道傘下の会社として運行を始めたものだ。

 ただし、鉄道用地は和歌山市・紀の川市が所有するという体制であり、自治体は終点の貴志駅の事務所を駐輪場に作り変えるべく、この場所にあった野良猫の小屋を撤去することにした。路頭に迷っていた猫(と世話をしていた周囲の人々)を見て、和歌山電鐵は駅長への任命を決断する。たま駅長の誕生である。


 まもなく和歌山電鐵では、南海電鉄でズームカーとして親しまれた22000系を改造した2270系を水戸岡鋭治氏がリニューアルした「いちご電車」や「おもちゃ電車」といった、いわゆるキャラクタートレインが走りはじめた。

 水戸岡氏というとJR九州との結び付きを連想する人が多いだろう。しかし彼は岡山市生まれであり、両備グループでは岡山電気軌道の「MOMO」こと9200形、岡山と小豆島を結ぶフェリー「おりんぴあどりーむ」などを手掛け、グループのデザイン顧問を務めていた。和歌山電鐵の電車を担当するのは当然の流れだろう。


 このリニューアル列車第3弾として2009年に登場したのが「たま電車」だった。

 たま電車のコンセプトは「ネコロジー」で、外観は白を基調に101匹のたまのイラストをちりばめ、前面にはひげが描かれ耳まで付いている。木を多用してエコに配慮した車内は三毛猫カラーの座席や床、たまのイラストを用いたポスターやのれんのほか、ミニ文庫コーナーもあり、アミューズメント感を盛り上げている。

 続いて2010年には貴志駅舎が、たま駅長室やカフェなどを備えた水戸岡氏デザインの新駅舎にリニューアルしている。また沿線の「山東まちづくり会」では年1回、「うちのにゃんこ写真コンテスト」を実施しており、入選作品は一定期間、和歌山電鐵車内に中吊りポスターの形で掲示される。


 筆者も数年前にこのコンテストに応募したところ入選したので、応募の時と掲示写真を見る時の2回、家族とともに和歌山に足を運んだ。多くの入選者とその家族や知人が同じような行動を取れば、地方鉄道にとっては相応の乗客増につながるのではないだろうか。

 残念ながらたま駅長は2015年に亡くなり、現在はそれ以前から駅長として活躍していた「ニタマ」と、2018年1月から就任した「よんたま」が任務に当たっている。出勤時間はいずれも10~16時で週休2日と、猫に負担を掛けすぎない環境であることは特筆すべきだろう。


■岡山には「たまバス」も

 ところで、たま電車は和歌山以外にも走っていることをご存じだろうか。両備グループの岡山電気軌道にも、7000型と7100型をベースにした、たま電車が登場した。仕立ては和歌山電鐵のそれに似ており、白をベースとした外観には35匹のたまのイラストが描かれている。

 車内も三毛猫カラーでコーディネートされているものの、観光路線の色彩が強い和歌山電鐵に対し、岡山電気軌道は通勤通学や買い物客などがメインということもあり、実用性をスポイルしない程度の装飾という印象だった。


岡山には「たまバス」も走っている。2月8日の31路線廃止発表(2月14日付記事「両備・岡電『赤字バス4割廃止』届け出の真意」参照)で全国的に衝撃を与えた両備グループのバスのひとつ、岡山電気軌道バス(岡電バス)に2012年から投入され、現在は10台が走り回っている。

 電車と違うのは車体色が青であること。既存の岡電バスが白基調なので差別化を図ったのかもしれない。たまのイラストの数は少なく、車内はそのままだが、運転席上には耳が付き、下にはひげが描いてある。電車に比べ投資規模が小さいバス車両としてはかなりの演出と言えるだろう。


 一方、両備バス関西カンパニーでは、観光バスに「たまバス」を用意している。高速道路を走ることもあって耳はないが、白い車体にたまのイラストをちりばめた外観、三毛猫カラーの車内はたま電車に近い。外観イラストの一部は横の窓まではみ出していて、この部分は車内側にもイラストが入っている。

 両備グループ以外で猫列車を探すと、意外に少ない。その中で筆者が出会ったのは富山県高岡市・射水市を走る万葉線と東京都世田谷区の東急電鉄世田谷線だ。


 万葉線のそれは正確にはアニマル電車という名前で、2016年夏まで走っており、デ7070形の正面に猫、側面に十二支の動物の絵が描かれていた。神様が十二支の順番を決めるお触れを出した際、日時を聞くのを忘れた猫にネズミがうそを教えたため、猫が十二支に入れず、それ以降猫はネズミを追い掛けるようになったという説はおなじみだが、アニマル電車では逆に猫が特等席に陣取っていた。

 万葉線は以前は加越能鉄道(現・加越能バス)が運行していたが、乗客減少に悩んでおり、台風による橋脚一部流失を契機に、一部区間の廃止を表明した。これに対して地元の自治体や住民などが存続のための活動を続け、2002年に第三セクターの万葉線に移行したという経緯を持つ。和歌山電鐵に通じるストーリーだ。アニマル電車はこの過程で、存続を願う小学生に描いてもらった絵から生まれた。


■「猫型ロボット」の電車も

 現在、万葉線には猫型ロボットの電車が走っている。高岡市出身の漫画家、藤子・F・不二雄氏の代表作である『ドラえもん』をモチーフとしたドラえもんトラムだ。こちらは新世代のMLRV1000形「アイトラム」をベースとしている。通常の塗装は赤で車内は白基調だが、ドラえもんトラムは外も中も青となっており、ドラえもんやのび太などのキャラクターが描かれている。赤い帯を首輪に見立てて鈴を描き、ドアは「どこでもドア」のピンクとするなど、センスの良い仕立てだ。


 一方の世田谷線はルーツに当たる玉川線が昨年開業110周年を迎えたことを記念して、3月末までの期間限定で300系1編成を「幸福の招き猫電車」に仕立てた。

 沿線にある豪徳寺が招き猫発祥の地と言われていることにちなんでおり、外観は白い車体の前面や側面に招き猫を描いている。車内は吊り手が招き猫の形になり、床には猫の足跡が加わった。足跡は入口から出口に向かっており、乗客の車内移動を促すようになっている。

 ここで紹介した車両はアニマル電車を除き、ここ10年以内に登場している。最近の猫人気の影響が大きいのだろう。昨年12月に一般社団法人ペットフード協会が発表した全国の犬と猫の推計飼育頭数によれば、猫が952万6000頭、犬は892万頭で、1994年に調査を始めて以来、初めて猫が犬を上回ったという。


 しかし、この数字は猫好きの一部にすぎない。マンションの規定、家族のアレルギー、出張が多いなどの理由で猫を飼えない人は多い。そういう人たちは猫カフェに行ったり、猫柄の衣服や雑貨を手に入れたりして気持ちを満足させているようだ。猫駅長や猫列車もこの延長線上にあるような気がする。

 欧米の鉄道やバスで猫を描いた車両を見たことはない。現地で乗り物をキャラクター化するのは「きかんしゃトーマス」など子ども向けアニメーションぐらいで、都市交通は景観も考え機能主義的造形にまとめることが多い。さらに欧米の都市交通は多くが税金主体で運行していることも関係していると考える。


■「猫列車」は今後も増える? 

 日本の鉄道やバスは運賃収入を原資として走っている。ゆえに過疎化が進む地方交通は多くが苦境に立たされている。その中で観光客を含めてひとりでも多くの人に乗ってもらいたいという気持ちが猫列車につながったのではないかと思っている。

 つまり、これは日本独自の鉄道文化と言えそうだ。現に和歌山電鐵は外国人の利用者も多く、ウェブサイトは英語・中国語表示が可能だ。万葉線ウェブサイトも、ドラえもんトラムについては英語や中国語の案内もある。利用者増加のためには国際対応も重要になりそうだ。


 今後も猫列車は増えると予想している。和歌山電鐵以外にも会津鉄道芦ノ牧温泉駅(福島県)やひたちなか海浜鉄道那珂湊駅(茨城県)など、鉄道事業者公認の駅猫はいるし、それ以外にも猫が暮らす駅は多い。筆者も小湊鐵道養老渓谷駅(千葉県)、四日市あすなろう鉄道日永駅(三重県)などで見掛けた。

 和歌山電鐵のような成功を収められるかどうかは、やはり戦略がカギになるだろう。たま駅長とは違う魅力を発信できるか、斬新な提案に期待したい。ただ地方都市の鉄道事業者は力が限られているので、猫つながりで複数の事業者が手を組んでのプロモーションも試して良いのではないかと思っている。





引用元の記事はこちら(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180222-00209607-toyo-bus_all)


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